宝石はさまざまな形にカットされ、美しいアクセサリーへと加工されます。素材の持つ魅力を見極め、その原石がもっとも美しく見えるカットを施すのが職人の見せどころです。宝石の価値を大きく左右するカットについてご紹介します。

宝石の輝きを最大限に引き出すブリリアントカット

宝石のカットは石を真上から見たときのアウトラインを指す「シェイプ」と、研磨様式を指す「スタイル」で表されます。ブリリアントとはカットのスタイルのことで、ダイヤモンドをもっとも美しく見せるために考え出された研磨方式です。その歴史は古く、17世紀のヴェネツィアで作られた原形をもとにして、1919年に数学者だったベルギーの宝石職人の手により完成されました。ダイヤモンドの屈折率や反射などの性質を考慮して、ダイヤモンドが一番美しく輝くように設計されています。カットされた切子面が石の中心から外側にかけて放射状に並ぶという特徴があります。ダイヤモンドに用いられる場合は、丸いアウトラインを持つラウンドシェイプのラウンドブリリアントカットが一般的です。ダイヤモンドのグレードを評価する国際基準である4Cのうちの「カット」はこのラウンドブリリアントカットをもとに、仕上げとプロポーションの美しさを評価するものです。宝石の輝きを引き出すブリリアントスタイルは人気があり、ラウンド他にも楕円形のオーバル、しずく型のペア、丸みを帯びた四角形のクッション、ハートなどがあります。ラウンド以外のシェイプを総称してファンシーシェイプと呼ぶこともあります。

原石の特質を活かして透明感を引き立たせるステップカット

石のアウトラインとカットされた切子面が平行に配列しているスタイルのことをステップカットといいます。石を横から見たときに切子面が階段(ステップ)のように見えることから、このように呼ばれています。ステップカットでもっともポピュラーなのは、エメラルドによく用いられるエメラルドカットです。エメラルドカットは正方形か長方形のシェイプの四隅の角を落とした形をしています。上から見たときに八角形をしているため、オクタゴンステップカットともいわれます。石自体の色味が濃く、屈折率もあまり高くないエメラルドは、ブリリアントカットよりも平面が多く、石そのもののカラーを楽しめるステップカット向きの石です。研磨の回数が少なく、四隅の角を落とした安定した形状も、衝撃に弱いというエメラルドの性質に適したものとなっています。エメラルドカットのほか、ステップカットの代表的なシェイプには上から見た形が正方形のスクエア、長方形のバゲット、細長い台形のテーパードバゲットなどがあります。プリンセスカットはステップカットとブリリアントカットを組み合わせたミックスカットです。


特殊効果や石の模様が美しいカボションカット

半透明の石や特殊効果の出る石、美しい文様が出る石などによく用いられるのが、石を丸いドーム型にととのえたカボションカットです。特殊効果とは虹のような色彩が浮かぶ遊色効果や、放射状に光の筋が浮かぶスター効果、猫の目のような光の筋のキャッツアイ効果などがあります。遊色効果は主にオパール、スター効果はルビーやサファイヤ、キャッツアイ効果はキャッツアイ、タイガーアイ、ホークアイなどによく現れます。底面が平らで表面にドームが1つのものをシングルカボション、底面にもドームの丸みをつけたものをダブルカボション、底面をくりぬいてドームに空洞を付けたものをホローカボションといいます。シェイプとしては楕円形のオーバルがカボションカットのなかでももっとも一般的ですが、丸いラウンドや四角いスクエア、しずく型のペアにハートなど種類は様々です。ムーンストーンなどの半透明の石や、めのうやトルコ石など文様の美しい石もカボションカットを施されることの多い石です。ジュエリーを見る際に、職人がどんな意図でカットを行ったか考えるのも楽しみのひとつになります。