男性着物の特徴
男性着物は女性着物とは着付けも仕立ても違うことをご存知でしょうか?
ここでは、男性着物の特徴や着用シーンなど、男性着物について詳しく解説いたします。
男性着物について
男性着物は、女性着物と違って未婚や既婚などで着物の種類が変わることはありません。
女性のように華やかな柄や色もなく、色は地味で無地のものが多いのが特徴です。
意外と知られていませんが、仕立て方も着付けも女性の着物とは全く違います。
女性着物は脇の下の身八つ口という部分や、袖の内側があいていますが、男性着物は全て縫われています。
着付けも、女性はおはしょりを作って帯を腰よりも上のあたりで締めますが、男性の場合はおはしょりは作らず、腰の低い位置で帯をまきます。
男性着物は基本的に絹やウールが多いですが、他にも化繊や麻、最近ではデニム素材のものもあります。
男性着物の種類
男性の着物は、年齢や未婚・既婚によって違いはありません。着用場面によって、4つの格式があります。それぞれの特徴と着こなしについてみていきましょう。
普段着
最も格の低い着物で、日常生活で着用する着物です。普段着は、着流しという着物に帯のみの簡単な着付けをします。絹がメインですが、夏には麻などもあります。
外出着
普段着の次に格の高い着物が外出着です。日常生活よりは、ちょっとしたパーティや観劇、格の高いレストランや料亭と、ドレスコードのあるような場所に出向く時に着用します。
外出着は、着物と羽織のアンサンブルで着用するのが一般的です。絹や紬、シルクウールなど、やや高級な素材で作られたものが多いです。
略礼装
略礼装は、二番目に格式が高い着物です。冠婚葬祭や卒業式、入学式などで着用します。
1つ紋のお召の着物に羽織と袴を合わせるスタイルが一般的で、女性でいう色留袖にあたります。
お召しとは、表面に波をうったような細かい凹凸のあるシボがある縮緬のことです。略礼装の紋付きは、黒以外の色無地の着物に限られます。
礼装
礼装は男性着物の中で、最も格式が高いです。結婚式の花婿や仲人、親族、成人式など、幅広い場で着用できます。
礼装は、女性の黒留袖にあたります。黒紋付の羽織袴で、紋は五つ紋で黒無地、羽織と袴を合わせて着用します。
高額買取が期待できる男性着物
男性着物はどうしても需要が少ないのが現状です。そのため、無名のものはほとんど値段がつきません。そんな中でも、特に高い値段がつく可能性があるものを挙げてみました。
作家物
着物の中でも特に有名作家の手掛けたものや、人間国宝と言われるような方の作品は、状態によってはかなり高額での買取が期待できます。
下記人間国宝と言われる方の作品例です。
- 中村勇二郎 江戸小紋
- 甲田栄佑 仙台平
- 小宮康助 江戸小紋
- 小宮康孝 江戸小紋
- 久保田一竹 染色家
- 喜多川平朗 染色家
作家物には、印鑑のような役割である落款がはいっており、反物にも名前が入っています。買取相場は、安いものでも10,000円以上、高額なものは数十万円以上するものもあります。
有名産地
有名作家同様に、有名産地の着物も高額買取が期待できます。
以下が有名産地の例です。
・東京の黄八丈
日本三大紬のひとつで、植物の草木染による独特の光沢が美しいです。孫の代になっても色褪せることがないと言われるほどの染色技術です。買取相場は、80,000円程度になります。
・京都の丹後縮緬
しなやかな手触りに、シボの凹凸による光の乱反射で、染め上がりの色合いがとても美しい織物です。買取相場は、数万円~200,000円程度といわれています。
・加賀友禅
日本三大友禅の一つです。加賀五彩とよばれる臙脂・藍・黄土・草・古代紫の5色を使った、落ち着いた色合いに濃淡をつけて草花を描いています。加賀友禅の最大の特徴である「ぼかし」と「虫食い」が、立体感を生んでおり、刺繍や金箔、絞りは一切使用していません。買取相場は、50,000〜200,000円と言われています。
・茨城県の結城紬
重要文化財として指定されている絹織物です。手で紡ぐ手紬糸を使用するため、美しい十字絣の模様が布に現れます。柔らかい肌触りとは反対に、シワになりにくく丈夫という特徴があります。結城紬と本場結城紬の二種類があり、本場結城紬の方が高額です。買取相場は、30,000円程度になります。
・鹿児島県の大島紬
世界三大織物と言われ、絹糸を泥で染めるため深い茶褐色が美しい日本の絹織物の最高峰と言われています。男性着物の小付模様の代表である「亀甲柄」は、男性の風格を引き立ててくれる美しい柄です。買取相場は5,000円~50,000円と言われていますが、有名作家の作品などは100,000円以上の値段がつくこともあります。
需要の高さ
女性と比べて男性は、礼装や準礼装以外では着物を着用する人は少ないです。そのため、冠婚葬祭に着用できる黒紋付の羽織袴は買取価格も比較的高めです。
他にも、小紋の着物はおしゃれ着として着用する人もいるため、買取価格に期待できます。
買取相場は、黒紋付で300円〜1,000円程度と言われています。小紋の場合は、重要無形文化財に指定されている江戸小紋であれば、満足のいく買取価格になるでしょう。
証紙の有無
査定時に着物の証紙があると、、高額での買取が期待できます。証紙の有無で、査定額は数万円変わると言われています。証紙は、織る技術・染める技術が一定の基準以上のものに対して発行されます。一流の着物の証ですので、高額で買い取ってもらえます。
大きいサイズ
大きいサイズの着物は、仕立て直すことで短くすることもできるので需要が高いです。昔に比べ、背の高い人が増えてきたため、大きいサイズのものを求めている方も多いです。しかし、昔の人は背が低かったため、中古市場の着物は小さめのものが多いです。大きいサイズはあまり出回っていないので、買取も高くなります。
保管状態
着物は保管状態が悪いと、すぐにシミや虫食いで穴があいたりしてしまいます。シワや変な折り目がついていると、極端に値段が下がってしまいます。保管状態の良い着物は需要も高いため、高額買取が期待できます。
男性着物の買取のポイント
なかなか買取の難しい男性着物ですが、少しでも高く買い取ってもらうためのポイントをご紹介します。
袴も買取してもらえる
男性着物は、袴も買取対象になります。袴とセットであれば高く買取ってもらえますが、袴だけでも正装や略礼装のときに合わせたりするため、ある程度の需要はあります。しかし、無名のものだと500円程度とかなり安くなりますが、有名作家や名門老舗の袴なら10,000円以上になることもあります。
以下が有名作家の例です。
・人間国宝 甲田綏郎 精好仙台平
以下が名門老舗の例です。
・鳥居良謹製
売る時はアンサンブルで
アンサンブルとは、同じ生地を使って作った羽織と着物のセットのことです。
男性着物は、着流しといって着物と帯のみで着ることが多いですが、格式高いパーティのような改まった場所で着用する場合は、アンサンブルだと失礼がなく安心です。
男性の場合は街着として着物を着用する機会が少ないため、アンサンブルのようなおしゃれ着の需要が高い傾向にあります。
そのため、買取の場合はアンサンブルでないと買取してもらいにくいのが現状です。
男性着物の買取は着物買取専門業者がおすすめ
男性着物を売る時は、リサイクルショップやオークションよりも着物買取専門の業者がおすすめです。専門業者なら、着物の知識に精通しているスタッフが査定してくれますので、正しい価値を見極めて買取してもらえます。
リサイクルショップは便利ですが、専門のスタッフがいない場合、有名作家の着物でも一般の古着扱いの値段になってしまう可能性もあります。また、オークションの場合は、自分にある程度の着物の知識がないと、安く買い叩かれてしまう可能性もあります。
着物の買取は、時代背景や産地などの専門知識が必要です。必ず、買取専門の会社に査定してもらいましょう。
まとめ
男性着物は、女性の着物と比べると格段に需要が低いのが現状です。有名産地や有名作家の作品以外は、査定に出してもかなり安い価格になってしまうでしょう。
しかし、有名な作品の場合は、驚くほど高額になる可能性もあります。もう着ないからといって捨ててしまう前に、一度専門の業者に査定依頼をしてもらってください。