着物のシルエットを美しく演出し、そのデザインによって外観に彩りや強調を与える効果を持つ帯ですが、素材や柄によってさまざまな種類があります。中でも、塩瀬帯は人気が高く、多くの着物愛好家から愛用されています。

塩瀬帯の特徴

塩瀬帯は絹で織られた染め帯で、代表的な手描き友禅として有名です。生地に張りがあって締め心地がよく、春・秋・冬のおよそ9カ月という長い期間締められるため、愛用する方が多いようです。季節は秋になったけれどもまだ残暑が厳しいというような時も、軽くて締めやすい塩瀬帯なら使いやすいでしょう。デザインも豊富で、古典的で格調高い柄のものもあれば可愛い動物をあしらった見た目のものもあり、帯の中ではカジュアルに使用できる部類に入ります。また、塩瀬とは帯名ではなく、正確には生地の名前を指します。着物に使われる生地には主に「紬(つむぎ)」「縮緬(ちりめん)」「羽二重(はぶたえ)」の3種類があり、紬は紬糸を使って織ったもの、縮緬は撚りが強くかかった糸で織ったもの、羽二重は撚りのかかっていない糸で織ったもののことです。塩瀬は羽二重の一種であり、塩瀬羽二重を略した呼び方となります。密にした縦糸に太めの横糸を入れることで、布面に横畝を作り出しているのが特徴です。

塩瀬帯のお手入れ

帯は使用後、湿気を取るために陰干しします。使っていない時も、春や秋などの湿気の少ない日に陰干しするといいでしょう。保管する場合は湿気に強い桐ダンスにしまうのが有効です。通気性が悪く湿気がこもりやすいプラスチックのケースや、湿気を吸い取る段ボールなどに収納するのは避けましょう。虫食いが気になるようでしたら、防虫剤をご使用ください。ただし、違う種類の防虫剤を使うと成分が化学変化を起こして帯にシミができてしまう恐れがあるので、注意が必要です。もしも雨に濡れたり、飲み物をこぼしてしまったりした場合、まずは乾いたタオルやハンカチなどで充分に水分を吸い取ります。そのあとも乾いた布で表裏から軽く抑えて可能な限り水分を取っていくのですが、この際、決してこすってはいけません。また、固く絞った濡れタオルなどでシミになっている部分を叩いて汚れを取る方法もありますが、下手をすると汚れの拡大や色落ちを招く危険性があるため、技術と知識に自信がない方は手を出さない方が無難です。特にインクや墨、口紅やファンデーションなどの化粧品による汚れは水で触れると汚れが落ちなくなるケースもあるので、クリーニングのプロに相談しましょう。


落ちない汚れはプロに任せよう

どれだけ大事に使っても汗や皮脂が付着することで帯は少しずつ汚れていきますし、不注意でシミやカビを発生させてしまうこともあるでしょう。そういう時は「悉皆屋(しっかいや)」と呼ばれる染め物や洗い張りを専門に扱っている職人に修繕を依頼しましょう。着物や帯に関する熟練の知識と技術で大抵の汚れは綺麗にしてくれます。特に帯をほどいて反物の状態に戻してから洗い、布のりを引いて生地の状態を整える洗い張りを行うと、新品に近い風合いが蘇ります。ただし、練達の職人による手作業なので、完全に綺麗にするとなるとそれなりの料金がかかってしまいます。そのため、中には買い換えた方が安くつくというケースもありえます。経済的に余裕ないという人は、傷んだ帯を売って手頃な新品を購入してもいいでしょう。人気の高い塩瀬帯であれば多少のシミや汚れがあっても、買い取ってもらえる場合が多いようです。