着物の素材にはたくさんの種類があります。 また、織り方もたくさんの名称があります。見た目が似ていたり、聞きなれない名称が多いのでわかりにくいですよね。 しかし、着物の素材や織り方は、着物の格付けにも関係してくるので、その場に合った装いをするためには必須の知識です。 「種類が多すぎて把握しきれない!」という人のために、これから知っておきたい知識を、素材と織り方の二つに分けて紹介していきます。

素材で見る着物の種類

着物は、使われる素材によって、ふさわしい季節や場所が異なります。 特に、その場の格に合った素材が使われている着物でなければ、恥をかくことになります。 この項目では、素材や生地の特徴と、見分け方について紹介していきます。

絹は、蚕の繭から取れる天然繊維のことです。

着物の素材として最高のものであり、値段も高価です。

特徴は、手触りや肌触りがなめらかで、絹を使った着物は、体にフィットして美しいシルエットを作ってくれます。

ポリエステルと間違われることも多いですが、着心地はまったく違います。ポリエステルは汗をかいたときに、肌に張り付く感覚がありますが、絹は張り付くことなくしっとり肌になじむのです。

絹は、高級で格の高い着物に多く使われるため、格式高い式典やパーティに着ていくのにピッタリです

また、夏でも快適に着られるので、季節を問わず活躍します。ただ、湿気に弱いためカビができやすく、汚れやすいので保管には注意が必要です。

木綿

木綿はコットンと呼ばれることもある丈夫な素材です。

木綿は、吸湿性、通気性にも優れ、繊維が太く耐久性が高いため、洗濯しても問題ないほど丈夫です。そのため、実用着、普段着として着る着物に使われることが多いです。

木綿は、麻とよく似ているため間違われやすいですが、手触りで違いがわかります。木綿は、手触りがゴワゴワしているのに対し、麻はツルツルしています。

木綿は、強い日差しに当たると変色しやすく、縮みやすいのでシワになりやすいのが弱点です。 正絹 正絹とは、絹だけで作られた生地のことです。本絹、純絹とも呼ばれます。

正絹は、肌触りがなめらかで、着心地がよく、独特の光沢があります。しかし、デリケートな素材のためシミになりやすく、直射日光に当てると変色することがあります。

正絹は、吸水性や発散性、通気性が高い優れた生地なので、汗を素早く吸収し、すぐに乾き、風通しがいいので暑い時期も快適に過ごせます。

さらに、小さい穴が多数ある繊維なので、繊維の間に空気を多く含むことができ、あたためられた空気の層を保つことができるので、寒い季節も快適です。

着物の生地として使われる麻は、本麻と呼ばれており、一般的に使われている麻とは異なります。特に有名なものに上麻があります。

麻は、着物の生地として使われる素材の中で、通気性が最も優れていると言われており、薄手で軽いということもあり、汗ばむ季節に着る着物に使われることが多いです。

弱点として、弾力性に乏しく、シワになりやすいという点が挙げられます。 また、先述のとおり、木綿と似ているため間違われやすいですが、麻は手触りがツルツルしているので、見分け方に迷ったときは直接手で触れてみましょう。

ウール

ウールは羊やアルパカの毛から作られているので、表面が毛羽立っているのが特徴です。

ウールの見分け方は簡単で、手で触れたときにチクチクする感覚があればウールだと思っていいでしょう。

ウールは、丈夫でシワになりにくく、シミなども付きにくいので、気軽に着ることができます。

また、吸湿性に優れるため、寒い季節の屋内でも蒸れて不快になることはありません。

しかし、洗うと縮む、摩耗に弱いといった欠点もあります。

化学繊維

着物の生地で使われる化学繊維には、ポリエステルがあります。

ポリエステルは、値段が比較的安く、見栄えが高価な絹に近いことから初心者や、気軽に着物を着てみたい人に最適です。化学繊維の品質が向上したこともあり、一見、絹と区別できないことがあります。

見分け方としては、触れたときに乾いた感じがあること、生地をこすり合わせたときに固い感じがあるといった特徴があればポリエステルと考えていいでしょう。

ポリエステルは、雨や汚れに強く、洗濯してもシワになりにくいので、気楽に着ることができます。しかし、通気性や保湿性、吸湿性に乏しく、暑い季節や冬のあたたかい屋内では蒸れてしまうことがあります。
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織り方で見る着物の種類

この項目では、織り方から見た着物の種類分けを説明していきます。

羽二重

羽二重とは、平織という製法で織られた絹織物のことです。

平織は、経糸と緯糸を交差させる織り方のことです。使う糸が絹の場合、光絹と呼ばれます。

一般的な平織は、経糸一本、緯糸一本で織りますが、羽二重は、経糸二本と緯糸一本で織ります。こうすることで、独特の肌触りや光沢を生み出しているのです。

留袖の比翼や、木綿で織られた着物の裏地に利用され、季節を問わず重宝される織物です。

縮緬

縮緬は、経糸にねじれのない糸、緯糸にねじれの強い糸を使った平織のことです。

留袖、訪問着などの高級呉服や、風呂敷、巾着に利用されています。

縮緬は、糸のねじれが元に戻ろうとすることで、しぼというおうとつができ、あたたかみのある風合いが出ます。そのため、暑い季節には向かず、秋頃から春頃にかけて着ることが多いです。

縮緬は、生産される地方によって異なる個性があり、京都の丹後ちりめん、滋賀の浜ちりめんが有名です。

紋意匠

紋意匠は、紋意匠ちりめんの総称です。

初めから生地に入っている模様を地模様と言い、その地模様があることが紋意匠の特徴です。地模様が入っている生地と、地模様そのものを指して、紋意匠と呼びます。

地模様は、他の生地にはない独自の模様が生まれ、独特の光沢感があり、訪問着や羽織などの多くの着物に利用されています。

お召

お召しとは、縮緬の一種で、正式には御召縮緬と言います。 お召しという名称は、江戸幕府11代将軍徳川家斉が好んで着たことから、お召しと呼ばれるようになったという由来があります。

普通の縮緬よりもしぼが細かく、先練り先染めでありながら、格が高いことが特徴です。

一般的には、糸を先に染色してから織る場合よりも、織ってから染色したほうが格が高いとされていますが、お召しは例外的に略礼装としての格で扱われます。

一越

一越とは、一越ちりめんの総称で絹織物の一つです。

経糸、緯糸を二本使う二越が一般的なちりめんの製法ですが、一越はそれぞれ一本ずつ使うのでこの名が付きました。

精錬後、おうとつではなく、細かくざらついたしぼが出ることが特徴です。このしぼのため、仕上がりに高級感が生まれ、長時間着ていても着崩れしにくい生地に仕上がります。

状況を選ばずに対応できる生地なので、さまざまな格の着物に使われます。

紬とは、紬糸で織った絹織物のことです。

多くの部分を手作業で行うため高価ですが、着物としての格は普段着なので高くありません。フォーマルな場にはふさわしくなく、外出や趣味の着物として着られることが多いです。

独自の風合いがあり、訪問着を作る生地として利用することもありますが、あくまでも普段着として扱われます。茨城県の結城紬や鹿児島の大島紬、長野県の上田紬が有名です。
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紗とは、隙間を意図的に作るもじり織りが特徴の絹織物です。

網のようになっているため通気性がよく、暑い季節にピッタリな生地です。

紗にはさまざまな種類があり、刺繍で紋様をいれたり、紋様を織りあげたりして作られる紋紗や、紗を二枚重ねて着る二重紗、節がある紬風の粋紗などがあります。

格が高いわけではないので、フォーマルな場にはふさわしくありませんが、雅楽の衣装にも使われるので、セミフォーマルな場には対応できます。

羅とは、もじり織りの一種で、夏用の絹織物のことです。

紗などと比べると、より織り目が粗いのが特徴です。羅という名称は、元々、小動物を獲るための網のことを言い、この生地が網のように見えたことから付いたようです。

羅は、着物の生地として使われることがほとんどなく、暑い季節に締める帯に使われたり、夏用のコートに使われたりします。

また、羅と紗を組み合わせることも多く、紗の着物に羅の帯を合わせるコーディネイトが好まれる傾向があります。

絽も、暑い季節に最適な織物の一つです。

絽も、もじり織りの一種で、緯糸を何本かおきに隙間をあけて織ります。三本なら三本絽、五本なら五本絽、七本なら七本絽と呼ばれます。隙間が大きいほど涼しく、隙間が小さければ、六月、九月に着ても違和感はありません

また、経糸で隙間を作る方法もあり、経絽と呼んで区別されています。

絽は、結婚式や茶席などのフォーマルな場に適しており、訪問着や留袖などの格が高い着物に使用されることが多いです。

まとめ

着物と一口に言っても、素材や織り方にさまざまな種類があります。また、織り方には地方独特の製法もあるので覚えるのは大変です。

しかし、用途や季節に合わせて選べば、選択肢をしぼることができます。暑い季節に着たいなら絹や木綿を、一年を通して着るなら羽二重や紋意匠を、寒い季節に着たいならウールを選ぶなどです。

あとは、着ていく場の格式に合っていれば問題ありません。着物の素材や織り方は奥深いものです。

それゆえに、知れば知るほど楽しくなるでしょう。この記事が、そのきっかけになれば幸いです。 関連記事:着物の種類によって買取相場が異なる?着物ごとの相場についてご紹介! 関連記事:絞り着物とは?特徴や格調、合わせる帯の選び方なども解説! 関連記事:着物ってどうやって種類を見分けるの?着物の種類を格式別に一挙紹介!