いま和装文化が見直され、お洒落着やフォーマル着として着物を取り入れる方がまた増えつつあります。雑誌や百貨店などの店頭で特集が組まれることも増えたので、改めて和装の良さを知った方も多いのではないでしょうか。 コーディネートの仕方はお洋服とはまた違った面白さがあり、日本の女性を美しく見せてくれる和装は一度魅力を知ると、どんどん楽しくなっていきますね。 しかし和装を取り入れる際に躓きがちなのが、生地の種類と、その生地が着ていく場所にふさわしいかを判断するところです。しかし、着物の生地の種類はたくさんありますが、その分類は簡単で、手触りや見た目ですぐ判断ができるものなのです。 ここでは、着物がどのような製法で作られているのか、またそれらがどのような種類や格に分類されているのかをお話していきたいと思います。

着物は大きく二つに分類されます

日本の着物は、さまざまな織りと染めから成り立っています。 初めに申し上げますと「染め(後染めの着物)」「織り(先染めの着物)」という大きなカテゴリさえ知っておけば和装で出かける際のTPOを間違うことはありません。また見分け方もとても簡単なので、難しく考える必要も全くありません。 「染め」と「織り」をご紹介する前に、生地そのものの製法をご紹介しましょう。 着物の生地は糸で出来ています、和生地はすべて織物から成り立っています。 「織物三原組織」という言葉があり、三種類の生地の製法が和生地の大本となっています。 まずは平織と呼ばれる製法で、経糸と緯糸が交互に組み合わされた最も基本的な織り方です。 二つ目が綾織と呼ばれる製法で、三本以上の経糸と緯糸が浮沈して斜めのうねを織り出します。平織より柔軟でしわになりにくいのが特徴です。 最後に朱子織と呼ばれる製法で、五本以上の経糸と緯糸を一定の間隔で保ち、規則正しく組み合わせた織り方です。 織物の表面はいずれかに一方の糸が多くあらわれ、見た目も非常に光沢に富んでいます。 以上の三つの織り方が和生地の代表的な製法です。 これらの織物が「染め(後染め)」か「織り(先染め)」という着色の仕方によって大きく二つに分類され、見た目も格も変化します。 その二つの特徴と見分け方を、次の項目から詳しく見ていきましょう。

しっとりとした染めの着物

一般的に染めのきものは、既に織りあがっている白生地を後から染めたものを指します。 これを「後染め」といいます。そのしっとりとした手触りの特徴から「たれ物」ということもあります。 蚕の生糸を織り上げてから精錬(不純物を取り除くこと)してできた白い生地にいろいろな技法で模様が染められます。 染めの着物は織りの着物より格が高いとされ、フォーマルな場所に着ていくことに向いています。 ですから、振袖、留袖、色留袖、色無地、訪問着、付下げといったフォーマル向きの着物は染めのもので作られています。 代表的な方法は、手書き、型染め、絞り染めです。 手書きは、京友禅、加賀友禅に代表される技法で、筆に染料をつけて絵を描くようにひとつひとつ色を挿して染める技法です。 型染めは、江戸小紋、型友禅、紅型に代表される技法で、染色用具のひとつである型紙を生地に当てて染める技法です。 絞り染めは、鹿の子絞り、縫い絞り、板締絞りに代表される技法で、染めたくない部分を糸でくくったり縫い閉めたりして染料の侵入を防ぎ文様を表現する技法です。 以上の「染めの着物」は白生地を染めて作るためしっとりとやわらかく、色も鮮やかなことが特徴です。 一見して華やかではんなりとした雰囲気が分かる種類の着物なので、フォーマルな場だけでなく、ちょっとおめかししてレストランや観劇などに行きたい場合などにもおすすめです。  

日常で大活躍の織りの着物

織りの着物は、糸の状態で染めてから布に織り上げる、「先染め」のきものです。 ゴワゴワとして固いため「固いきもの」とも呼びます。 先ほど説明した染めの着物がフォーマルな装いに多く着用されるのに対して、織りのきものはカジュアル向きとされ仕事着、普段着、気軽な外出着として作られてきました。 日常の生活に合わせて絹、木綿、麻、ウールなどの材料を使い、日本各地で特有の織物が生まれましたが、そういった伝統工芸品の織物は現在では着る需要が少なくなり逆にとても高価な着物になっています。 織りの着物も、染めの着物とおなじように様々な種類があります。 代表的な織物を例に挙げてご紹介しますと、大島紬は繭から直接糸を引いて生糸で織ったものです。 結城紬は繭を真綿に広げ、真糸から糸を紡ぎ織っています。お召と呼ばれる生地は、生糸に強い撚りをかけて糸を縮ませて織っています。 そして越後上布は、麻、芭蕉、ぜんまいなどの食物繊維を裂いて糸にして織っています。 このようにして作られた織物はざっくりとした手触りで温かみのある風合いが特徴です。また、着るときも適度な硬さが身体に沿うためとても着心地が良く、動きやすい種類といえるでしょう。 各地の伝統工芸で織られた紬などは非常に高価なものですが、あくまで織りの着物であるという性質上、フォーマルな場所には向きません。お洒落着として楽しみましょう。

種類によるコーディネート

ご紹介した二種類の着物ですが、どのようにコーディネートをしていけばよいのか迷ってしまう、という方もいらっしゃると思います。冠婚葬祭の場でもない限り、絶対に守らなければならないコーディネートのルールはありませんので、あまり気にしすぎる必要はありません。 しかし簡単に帯との組み合わせができる法則もありますのでご紹介します。 非常に単純明快な考え方なのでぜひ覚えて活用してみてください。 それは「染めの着物に織りの帯」もしくは「織りの着物に染めの帯」というルールです。 一般的に帯は織りのもののほうが格が高いとされていますので、フォーマルなシーンで装いたい場合は染めの着物に織りの帯を合わせれば間違いありません。フォーマルな場ではなくとも、正反対の性質の帯を合わせることにより、和装姿に表情が生まれ活き活きとした着こなしが簡単に完成します。 とはいえフォーマルなシーン以外ではこのルールも絶対に守らなければいけないということはありません。織りと織り、染めと染め、という組み合わせでも、ご自身が楽しくコーディネートすれば良いでしょう。おしゃれ着としてでしたら、どんどん自分なりの組み合わせを試してみてください。 日常のあらゆる場面に、どんな種類の着物を着てみようかと考えるだけでもとても楽しいものです。 生地の種類を知ることができたら、より一層和装でのお出かけが楽しくなること請け合いです。

着物の記事の種類と見分け方まとめ

いかがでしたでしょうか。このように着物の種類は様々ですが、大きく二つに分類されていることによって判断は非常に簡単になっています。着ていく場所もどちらがふさわしいかは単純明快なので、難しく考えなくても和装を楽しめるということがお分かりいただけたかと思います。 帯の合わせ方も簡単なので、自分なりに様々な種類とコーディネートすれば、より一層和装の楽しみが広がっていきます。知っている場所も和装で訪れることにより新鮮に感じられますし、自然の草花などにも目線が広がり、贅沢な時間の流れを感じることができるのではないでしょうか。 これを機会に日本古来の製法がいまも守られ続けている着物の文化に親しんで、日常に取り入れてみてください。 日本文化の奥深さとその繊細さを知ることができるだけでなく、ご自身の新たな魅力を発見できるでしょう。


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