着物というと礼装なイメージがありますが、いつもの堅苦しい着方ばかりでなく、もっとカジュアルに楽に着こなして出かけたい時、半幅帯を締めるのがお勧めです。
半幅帯というと、浴衣に結ぶものと思われるかもしれませんが、半幅帯は着物に合わせてもいいのです。普段からよく着物を着用する和装の上級者は名古屋帯などより半幅帯を愛用します。半幅帯は名古屋帯、袋帯より幅が小さいので結びやすく、さまざまなアレンジの結び方によって背中を鮮やかに演出してくれる優れものです。
種類も豊富で値段もお手頃なものが多いので手軽に購入し、結ぶこともできるでしょう。ネットショップでは、浴衣とセットで、作り帯と呼ばれるすでに完成した形の帯が販売されていますが、やはり客観的に見ても不自然なものが多いのです。慣れないうちは形が決まってない、と思っても自分の手で結んだ帯の方がずっと愛着が湧きます。

半幅帯、その種類と由来

半幅帯は、別名で細帯、女帯とも呼ばれています。その名前の通り、普通の帯の半分を半分に折って仕立てることからこの名前がつきました。種類も豊富にありますが、木綿や博多織で仕立てられるのが一般的でした。基本的には花嫁衣裳の打掛や、寒い時期に羽織る羽織の下、卒業式ではく袴の後ろ姿を美しく見せるために中で結ぶなど、見えない部分で結ばれるための帯でした。
浴衣や木綿、ウール、絣など普段着の着物に結ばれ、昔は女中さんが締める格下の帯というイメージがありました。最近は格下のイメージはだいぶなくなり、お洒落でアレンジするための細帯で愛用する人が多いです。
木綿で仕立てられることが多いですが、舞踊や民謡では、錦といった絹織物で織られたものが着用されました。これは踊りがより華やかに見えるようにするための工夫で、浴衣も絵羽模様と言われる、格の高い特別な仕立てのものが愛用されました。民衆の風習として登場した舞踊、民謡が舞台芸術として進化していったので、衣装としての形はそのままに、でも舞台映えするようにと求められていったからです。
現代はかなりルールも緩くなり、好きな着こなしが認められていますが、やはりTPOを考えたら、冠婚葬祭に着用するのは相応しくないとされています。錦など絹織物で仕立てられたものなら場所によっては大丈夫かもしれませんが、それでも日常のお出かけに楽しんで締める方が無難でしょう。

半幅帯の結び方アレンジ

結び方、その種類はアレンジによって何種類にもなります。一般的なのは矢の字結び、貝の口、文庫結びですが、吉弥結び、かるた結びと呼ばれる結び方もあります。
吉弥結びとは、見た目は矢の字とそっくりな形です。江戸時代に大流行した結び方で、人気の女形役者、上村吉弥が考案したところからその名前がつきました。後ろで方結びして長く垂らしたその着姿は当時の女性達の心をつかみました。それまで女帯と言われた細帯の結び方は一種類しかなかったそうなので、女性達が飛びつくのも理解できます。いつの時代も流行を作るのは人気役者のようです。
かるた結びは、こちらも江戸時代の結び方です。ちょっと固い帯に向いていると言われています。かるたを三枚並べたような仕上がりからその名前がつきました。つまりは帯を四角くするように結ぶやり方で、帯が固いと文庫などのふんわりした感じになりにくいですが、きっちりした四角を出すにはぴったりという訳です。それでいてただの貝の口より地味に見えず可愛らしさも演出できることからとても親しまれています。浴衣だけでなくウールなどの普段着の着物にも結びたいですね。
実は、貝の口、かるた結びは、電車やバス、またお店で椅子に座った時、潰れる心配がないのでゆったりと背もたれに背中を預けることができるのです。崩れる心配が少ないのも人気に秘密かもしれません。


まだまだあります、アレンジ方法

地味な結び方と言われる貝の口、矢の字結びは、昔女中さんが結んでいたものでした。潰れる心配がなく、文庫やお太鼓と違ってヴォリュームがないので、狭い空間も楽に通り抜けられるなど、利点が多いのです。また踊りをやっている人も、簡単に結べる貝の口で気持ちを引き締めていたようです。昔の人は良く考えているなと感心してしまいます。現在は、クールで大人っぽいお洒落のために敢えて貝の口に結んでいる人もいます。時代を超えて親しまれる着物は素晴らしい文化です。
若い女性のための結び方とされる文庫結びも、もちろん根強い人気があります。また、半幅帯を結ぶ際に真っ先に思い浮かべるのが文庫結びでしょう。それくらい半幅帯イコール分小結のイメージが強いです。テレビの時代劇に登場する町娘のほとんどがこの結び方をしていますね。要するに蝶々結びなのですが、このただの蝶々結びを綺麗にきっちりやろうと思うと、なかなか難しくて驚くかもしれません。
最初のうちは、文庫の部分を着物の背中に張り付けるのではなくて、横に寝かせる状態にするのに特に苦労するかもしれません。しかしこれは何度もやっていくうちに自然と綺麗な形に出来る様になっていきます。焦らず何度でもチャレンジしましょう。頑張り過ぎて疲れてしまっては、着物自体が嫌になってしまいますから、焦らず、ゆっくりと慣れていくことが肝要です。

上級者の結び方にも挑戦

慣れてきたら、だんだん、文庫や貝の口ではつまらなくなってくるかもしれません。もっと上級者のテクニックに挑戦してみるのも良いでしょう。インターネットで着物、半幅帯、変わり結びと検索するといろんな種類の面白い結び方がたくさんヒットします。最近は動画投稿して結び方をレクチャーしてくれるので本当に便利になりました。着物の着付師さんが考案したアレンジは、帯なのにバラを象っていたり、向日葵の形になっていたり、まさに背中で魅せるアートのようになっています。
また、本来、半幅帯は着物のように、帯揚げや帯締は用いませんが、お洒落のために敢えて帯揚げを合わせたり、帯留をとめるために帯締めを使う人もいます。夏の浴衣の場合、ガラスの帯留や金魚やうちわ等を象った帯留をつけていると、とても粋でお洒落に見えます。帯留をしなくても、帯揚を半幅帯の上で凝った結び方にしてみたり、帯締めも同様にすると良いアクセントになって他の人より一歩進んだ着こなしを楽しめていいでしょう。
もちろん、そこまで求めてはいないんだけど、という人も大丈夫です。ひと味違っても凝り過ぎていない、真似しやすい結び方も種類がたくさんあります。人気の高い着物ブロガーさんが考案したカラテア結びが、見た目がリボンが幾重にも折り重なったような可愛らしさがありながら、コツを掴むのも簡単なのでとてもおすすめです。

着物の種類|半幅帯とはまとめ

半幅帯は、昔から普段着に締めたり、女中さんや舞踊家さんの仕事着だったり、幅広く親しまれてきた帯です。格下のイメージなのは遠い昔の事、現在では素材も種類も豊富で、人気作家さんの芸術品と言えるような豪華なものまであります。名古屋帯、袋帯等と違ってとても軽いですし、締めるのも楽なのでとても重宝されます。
普段から着物を愛用している人は、かさ張らず乗り物でも楽だからと、旅行には半幅帯しか持って行かない、という場合もあるようです。着物で旅行なんてとても無理、という人でも、思い切って挑戦してみると良いでしょう。普段のお出かけの延長と思えば、着物で旅行は決して高いハードルではありません。
お気に入りの着物と半幅帯の種類を取り揃えて、張り切って出かければ、行く先々で優しく歓迎されるでしょう。まずは無難とされる文庫や貝の口をマスターすることから目指しましょう。