和装にも着物の上に着るコートやジャケットにあたる上着「アウター」があります。名前もあまりなじみがないものだったり、見た目はみんな同じに見えたりしますが、種類もいくつかあり、用途も着用場所も違います。その違いを知っておくことで、室内で着たままで良いものと脱ぐべきもの、それを着る理由も分ります。

【羽織は洋服で言うとジャケット】

「羽織(はおり)」という名前は和装で着物の上に着るものとしては一番知られた名前ではないでしょうか。 「羽織袴(はおりはかま)」というのも良く聞く言葉です。羽織は洋服で言うとジャケットの役割をしています。「羽織袴」は日本の男性の正装であり、紋がついた羽織は今でいうフォーマルスーツのような位置づけで、まさに羽織がジャケットの役割であることを示しています。 男性だけでなく女性も羽織を着るようになったのは江戸時代。深川芸者が着たのが始まりといわれています。フランスで男性のジャケットをココ・シャネルが着て、女性に広めたというのと似ているかもしれません。 男性に取っては正装の羽織ですが、女性にとっては基本的には正装ではないのですが、無地の羽織に紋を付けることで格をあげ、セミフォーマルとして使う。という着方はよく行われてきました。昔の写真には子供の入学式に校門の前で羽織を着て写っているお母さんの姿がよく見られます。 羽織は前が開いていて、中の帯や着物が見える形で着ます。着物や帯とのコーディネイトも羽織の楽しみの一つです。 羽織にも色々な種類があり、黒紋付など、略礼装に着られるものからカジュアルなものまで様々です。更に着物との組み合わせで格を変えることもできます。 たとえば、普段着の小紋に黒の紋付羽織を合わせて格をあげて入学式などに着たり、略礼装に着られる色無地に華やかな柄の羽織りを合わせてお洒落着として着たり。長さも膝より長い丈のものは長羽織と呼ばれ、短いものよりフォーマルとされていますが、羽織の丈には流行があり時代によっても変わるのです。 現在の羽織の丈はやや長めのものが主流になっています。 羽織はジャケットなので室内で着用していても良い上着ですが、お茶席や畳に座る場合など、特に長羽織は脱いだほうが良い場合もあります。羽織を着る時期は、袷のものは10月~4月。一重仕立ての透ける素材やレースの羽織などは5月~9月の時期にお洒落着として着ます。

【和装コートの種類は衿型で名前が違う】

羽織を着た女性
羽織とは別に「和装コート」と呼ばれる種類の上着があります。和装コートの中には「道行(みちゆき)」「道中着(どうちゅうぎ)」などの種類がありますが、主に衿の形で呼び名が変わります。 道行は衿のあきが四角く切り抜かれた形をしており、中に着ている着物の衿が見えるようになっています。洋服のダブル前のような重ねで、前を全部閉めた形で着用します。この四角く切り取られた衿を「道行衿」と呼びます。 他にも「千代田衿」「へちま衿」など衿の種類がいくつかあり、区別されていますが、道行と並んで現在ポピュラーなのが「道中着」です。 道中着は衿の形が着物に似た合わせになっており、右前で紐で結ぶ形です。道行よりカジュアルでくだけた感じになり、完全にお洒落着として着られています。 どちらかというと道行はフォーマルにも着られるため、年代を選ばず若い人も着ているのに対し、道中着は年齢の高い方に好まれているようです。和装コートは全て衿周りがゆったりしていて、下に着た着物の衿が見えるような形になっています。ショールを羽織るときもそうですが、和装では寒くても衿は抜いて見せるのが粋とされているのです。 羽織と同じように、袷のものは袷の時期に。レースや透けるものは夏ものの一重の時期に、お洒落着として着ます。 和装コートはコートですから、夏用の透けるものでも室内では脱がなくてはいけません。洋服のコートも訪問先で室内に入る前に脱ぐのが正式なように、道行も訪問先に着いたら室内に入る前に玄関先で脱ぐのが正しいマナーです。

【着物にもレインコートがある】

和装コートは着物の上着として、防寒、雨避け、外出した際に帯や中に着る着物を汚したり傷つけたりしないように着るものなので、雨用のコートもあります。基本はオーダーで、素材はシルクのものもありますが、ポリエステルで仕立てあがったものもあります。 着物を着る予定だった日に雨が降り困ってしまうことのないように、着物を着る回数が増えてきたり、着物を絶対着なくてはいけない予定がある時には、仕立て上がりの手頃なものでも雨用コートをひとつ持っておくと安心です。 雨用コートも色々な衿型があれば良いですが、最近では衿の種類は道行と道中着の形がほとんどです。着丈は着物と同じで裾まであり、すっぽり着物をカバーできるようになっています。 さらに、雨コートには2部式と呼ばれている、上下が分かれたセットのものもあります。上に着るものなので和装の上着にはおはしょりがありません。仕立て上がりを買う場合は着丈が合わない場合もあり得ます。 そんな時には2部式の雨コートのほうが丈の調整がしやすいのと、商業施設などの屋内に入った時には、下側だけ外して上は着たままにもできるので、2部式も便利です。 雨コートを着る場合、中に着ている着物の裾は紐を使ってたくし上げ、落ちてこないようにしっかり止めておきます。そうすることで大切な着物の裾を汚したり塗れる心配がなくなります。目的地に着いたら紐を解いて裾をもどせば安心です。移動の際に中の襦袢が見えてしまわないように注意しましょう。

【ショールやポンチョも上着のひとつ】

振袖に合わせて着ているのをよくみかける羽根のショールがありますが、ショールも和装の上着のひとつと言えるでしょう。和装のショールは外出先で帯をカバーできるように、大判のものが中心です。カジュアルに普段着使いで使うなら、洋服の時に使っているものを合わせても構いません。和装の小物の売り場だけで探すより選べる種類が増えるので、コーディネイトの楽しみが増えるでしょう。 よりフォーマルな場所にも出かけられるのはベルベットのショール。 大判のベルベットのショールは見た目も華やかで和装コートと比べても見劣りしません。ベルベットのショールはかなりメジャーな羽織りものなので、様々な刺繍が入ったり地柄が入ったものなどもあり、種類も豊富です。寒いときにはショールも首につけて巻きたくなりますが、衿に合わせて抜いて羽織るのが粋とされています。 もうひとつ、着物好きの衣装持ちの人たちが着こなしているのを見かけることが多い、和装の上着として着られるものに「ポンチョ」や「ケープ」があります。ポンチョやケープはまさに防寒用に着られることが多く、これも和装用に作られているものがあります。 丈は短めが中心で、へちま衿やロールカラーなどで衿にファーがついているものもあり、洋服のコートのようなウールの生地で作られているものもあります。着物は枚数を重ねて着ているので、体部分にはそれほど寒さを感じないことも多いのですが、本当に寒い地域などではコート素材のウールで作ったポンチョを着るほうが防寒になるでしょう。

着物の上に羽織る和装の上着の種類についてのまとめ

着物を着るのに最低限必要なもの揃えたら、次に欲しくなるのが上着です。着物はあつらえが基本ですが、上着まであつらえるのはなかなか一気には難しいかもしれません。 しかし、雨用和装コートの1部式以外、着物の上着丈は裾までのものはないので、丈が合わないということがありません。裄丈と身幅が合えば良いので、着物の仕立てあがりを探すより、比較的既製品で揃えやすいアイテムです。また、ポンチョやショールなどは洋服の売り場で、着物に合わせられそうなものを探すのも楽しいものです。 仕立て上がりの着物の上着類は、以前は和服店などで探しても種類も少なく、なかなか気に入ったものを手に入れることが難しいものでした。 少ない選択肢の中から仕方なく選ぶしかなかったのですが、最近ではネットで探すことで個性的で様々なものが見つかるようになりました。 お手頃なものの種類も増えたので、まずはインターネットで探してみて、自分の欲しいもののイメージを固めるのも良い方法です。

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