作家物の着物とは

着物には、日常生活で着る一般的な着物以外に、伝統工芸品と言われる高級着物が存在します。それらの中でも特に高額になるのが作家物の着物です。ここからは、作家物の着物について詳しく紹介します。

作家物の着物について

作家物とは、「誰が作ったのか」という部分を強調した工芸品のことです。   着物の場合は、着物の絵や染め、刺繍など、高い技術を持った人のことを作家といい、その人が作った着物は作家物の着物として高い価値があります。着物作家といっても染めや刺繍など技法の種類によって多岐に渡るため、現在日本に何人くらい存在するか不明です。   人間国宝と呼ばれる作家もいれば、呉服屋の店員から作家になったという人もいます。その中でも、特に高額買取が期待できるのは、人間国宝と呼ばれる作家が作った着物です。   作家物の着物の価値が高いのは、染めや刺繍などが精緻で非常に手間がかかっていることと、正絹のような良い素材を使用しているからです。大量生産とは違い、非常に丁寧に作られていますので、とても美しく丈夫です。買取相場は、数十万から数百万になることもあると言われています。

3種類の作家がいる

着物の作家は、大きくわけて3種類います。それぞれの作家の特徴について見ていきましょう。  

染色作家

染色作家とは、友禅染や紅型・江戸小紋などの白い生地に図柄を描く作家です。   着物のデザインを決めて、それに合う色で染め上げます。着物の染め方には、小紋によってそれぞれ技術が違います。染色作家は、着物の素材とデザインを見極め、最も綺麗に染まる技法で染め上げていきます。

織物作家

織物作家とは、先に染めておいた糸を使って織物を作っていく作家のことです。 紬織や黄八丈、上布などが有名で、丁寧に染め上げられた糸を、ひとつずつ自分の手で織っていきます。それぞれの織物に必要な技法を活かして、上品な光沢のある高級な反物を作り上げていきます。   以下が技法例です。 ・黄八丈 八丈島の草木をつかった染料(黄、樺(茶)、黒)で染めた絹糸を使い、格子模様や縞模様に織り上げる。 先染めの平織りまたは綾織りで、よこ糸を打ち込む時は「手投杼」を使用すること。 ・結城紬 真綿から手つむぎした無撚糸を使用し、いざり機で織ること。 ・近江 上布 苧麻を手積みで紡いた紡績糸を使うこと。先染め平織りの工程で織り上げていくこと。  

刺繍作家

刺繍作家は、着物に刺繍を施していく作業を行う作家のことです。   例えば、代表的な文様染である「辻が花文様」に描かれている風景や草花などの刺繍は、全て手作業で行っています。 着物地に浮かび上がる独特の風合いは、刺繍作家の技術でしか表現できません。   ミシンが普及した現代において、刺繍作家はとても貴重な存在です。   刺繍は、生産地によって「江戸刺繍」「京繍」「加賀繍」のように呼び名が違います。どの刺繍も技法は同じですが、柄や色合いで少しずつ風合いも変わります。

伝統工芸士との違い

伝統工芸士は、どこかの工房などに所属し、産地名や店のブランド名などで着物を作ります。作家は、全て自分の個人名で着物を作ります。   伝統工芸士と作家では、その作品につく名前に大きな違いがあります。伝統工芸士は、その地域の伝統工芸品などを作る技術や知識を認定する資格です。   伝統工芸士の着物も、高い技術と品質が認められている着物ですので、作家物と同じように高額買取が期待できます。ただし、伝統工芸士の作品の場合は、作家のように名前が出ることはありません。加賀友禅や京友禅のように、工芸品に対しての買取価格となります。

人気作家の着物紹介 

ここでは、人間国宝として認知されている作家や、世間に認知されている人気着物作家の着物の特徴と相場について紹介します。

染色作家

まずは着物を染める染色作家の特徴と、有名作品について紹介します。

羽田登喜男

花鳥風月をテーマにした友禅作家で、京友禅と加賀友禅を融合させた作品が多いです。   1988年に人間国宝として認定されました。とくに有名なのは、鴛鴦の文様の入ったデザインのもので、500,000円を超えることもあります。

中村勇二郎

伊勢型紙道具彫師として、1955年に初代人間国宝として認定されました。伊勢型紙道具彫師とは、着物の型紙を彫って文様をつくる技術を持った職人のことです。   代表作には、「古代菊の図」「瑞雲祥鶴の図」などがあります。全てが計算された、精巧な美しさが人気です。   中村勇二郎の着物は、良い状態であれば15,000円くらいの価格で取引されています。特に黒地で丈が長いものは高額買取が期待できるでしょう。

斉藤三才

現代的なストライプや星といったカジュアルなデザインが人気で、「三才調」という新しい時代の流れを作った人気作家です。   「三才鳥」という鳥の図柄の入った着物が有名で、買取価格も30,000円程度と高額で取引されています。

久保田一竹

日本の着物の染色技術を世界レベルまで引き上げた染色作家です。   「一竹辻が花染め」という技法が有名ですが、他にも「花戯」や「瑞華」といった実用的な着物も手掛けています。国宝級の作品などもたくさんありますが、一般的な「辻が花染め」の訪問着の買取価格は、約100,000円から150,000円といわれています。

小森久

草木染一筋の染職員で、人間国宝に認定されています。小森久の草木染めは、自然の草木の色がとにかく美しく再現されています。   彼の染めた半幅帯や博多帯、名古屋帯はかなり高額での取引となっています。証紙付きだと約200,000円程度で買取してもらえます。

由水十久

加賀友禅の友禅作家です。昭和52年に伝統工芸士として認知を受けました。   特徴的で人気なのは「人物画」で、買取価格は30,000円~50,000円と言われています。ただし、代表作である童子模様は、100,000円以上の買取が期待できます。

松井青々

京都の友禅作家です。   独自の染料を使用した「たたき染め」が特徴で、代表作の「青々調」は特に評価が高いです。初代、二代目の作品は特に人気が高く、約70,000円~150,000円程度の買取相場となっています。

木村雨山

大正〜昭和を代表する加賀友禅の作家です。 1955年には人間国宝に認定されています。「ぼかし」手法が用いられた作品が多く、振袖や留袖は60,000円以上の買取価格が期待できるでしょう。

和田光生

金彩友禅の第一人者であり、金彩友禅作家として多くの有名作品を手掛けています。   150色以上もの金銀箔粉を使って作られた友禅ですが、熱にも強くドライクリーニングにも耐える、という丈夫な友禅です。  

喜多川平朗

衰退していた古代以来の羅を体系立てて復元し、1956年に羅の人間国宝に認定されました。1960年には「有職織物」の人間国宝にも認定されています。作品は極めて価値が高く、状態のよいものであれば帯でも200,000円以上の値がつく場合があります。

織物作家

次に、特に有名な3名の織物作家を紹介いたします。

北村武資 

昭和の後期から平成にかけての染織家です。  

1995年「羅」の技法において、2000年には「経錦」の技法において人間国宝に認定されました。作品には帯が多く、帯の制作を中心に新しい作品を次々と生み出しています。着物・帯の買取相場は、約110,000円という傾向が見られます。 宮平初子

沖縄らしい藍や赤、黄色、緑などの色使いが大きな特徴の織物作家です。   代表作は、「首里手華帯」「春のしらべ」「碧晶」などで、どの作品にも素晴らしいグラデーションが織られています。買取価格の相場は約150,000円くらいとなっています。  

喜多川平郎

昭和を代表する織物作家で、人間国宝に認定されています。   美しい幾何学的な紋様が特徴的な着物は、約70,000円~150,000円程度で取引されていると言われています。

喜多川俵二

有職織物を手がけたことで有名な作家で、人間国宝に認定されています。皇室御用達作家としても活躍しており。代表的な柄である「浮線の丸」は、特に高額買取が期待できます。

刺繍作家

最後に、着物に美しい刺繍を施す刺繍作家をご紹介します。

福田喜重

人間国宝に認定されている刺繍作家です。他の人が真似できないような卓越した技術をもっています。   平面を感じない、奥行のある刺繍の絵柄が人気で、買取相場は約70,000円以上の価格がつくと言われています。刺繍の場合は、刺繍の量が多い方が高額になります。

作家物着物を高額買取してもらうためのポイント

作家着物の査定では、作品が間違いなく作家のものであることを証明する必要があります。実際に、作家物の着物を少しでも高く買い取ってもらうためのポイントについてみていきましょう。 落款 落款は、着物作家の印鑑のようなもので、反物や着物の端に入っています。落款は、その作品を手掛けた人物の名刺のようなものであり、証明にもなるものですので、ひとつの反物に複数入っている場合もあります。   買取査定に出すときは、落款が入っているかどうかを一度チェックしておきましょう。落款の有無で買取価格は数万円変わるとも言われています。

証紙

その着物の産地や染め方、登録商標などについて記載したものです。   この証紙は、伝統工芸組合が発行しています。証紙があると、この着物が本物である証明にもなります。証紙の有無で数万円の査定額の差があると言われています。

保管状態 

有名作家の着物とはいえ、保管状態が悪いと、無名の着物と同様に買い取られてしまうことがあります。   また、いくら有名作家でも、シミや汚れがある場合は買取不可となってしまう可能性もありますので、カビや虫食いにならないように、時々虫干しにして乾燥させるといいでしょう。さらに、カビや虫食いのない着物なら、購入時の箱があったら箱も一緒に査定に出すと査定額がアップすることもあります。

作家物着物の買取は着物買取専門業者がおすすめ 

作家物の着物は、着物買取専門の店で査定に出すのがおすすめです。着物の中でも特に作家物の着物は、細かい着物の知識が必要ですでの、専門の査定員がいるところにお願いしましょう。   リサイクルショップは買取に出すのも簡単ですが、着物の専門知識を持った査定員が少ないため、着物の価値を見抜けずただの古い着物として買い取られてしまうこともあります。 また、オークションは出品してから売れるまでに数日間はかかります。 リサイクルショップや専門店での買取と比較すると、出品の手間も時間もかかりますし、必ず売れるかどうかわからないという不安もあります。   着物買取専門店の場合は、着物の価値をしっかり見極めてくれる専門の査定員が在籍していますので安く買い叩かれる心配もありません。 店舗に持ち込めばその場で買取価格を提示してもらえますので、時間もかかりません。 買取査定に出すときは、必ず専門の査定員がいる着物専門業者にお願いするようにしましょう。

作家物着物の買取実績

ここでは、作家物着物の買取実績を紹介します。

関屋ひろみの着物

買取エリア:岡山県岡山市 作家物着物 落款あり 買取金額 112,000 関屋ひろみの着物

久保田一竹と北村武資の着物

買取エリア:大阪府大阪市 作家物着物 落款あり 買取金額 84,000 円 久保田一竹と北村武資の着物

まとめ

作家物の着物は、他の着物と比べると、やはり丁寧さや風合い、生地の質など全てが別格です。そのため、買取価格も一般的な着物の価格よりもずっと高いです。   しかし、着物の世界に精通している査定員は少なく、リサイクルショップなどに安易に持って行ってしまうと、想定していたよりも安くなってしまうこともあります。   もし、作家物の着物が自宅に眠っていたら、ぜひ着物専門の買取査定員に依頼してくださいね。