かつて「聖徳太子」と言えば、一万円札の代名詞となっていた時代がありました。1984年に一万円札の肖像が福沢諭吉に変更になってからは、日常生活で聖徳太子に出会う機会はほぼありません。しかし、このような旧札(日本銀行券)も法定通貨としては有効とされています。ショッピングでも問題なく支払いに使えるだけでなく、受取を拒否することもできません。ところが、国が違えば事情も違います。フィリピンではいくぶん状況が異なるようです。

偽札が多く2017年から使えなくなる旧紙幣

フィリピンの通貨はペソ Piso(国際通貨コード PHP)です。紙幣としては1,000、500、200、100、50、20ペソの6種類が流通しています。現状では1985年から発行されていた旧紙幣と2010年から発行されている新紙幣の2種類が同時に使われています。旧紙幣は偽札が多かったため、フランスの印刷会社に造幣を依頼してホログラムなどの特殊加工がされた新紙幣が導入され、現在に至ります。移行プロセスとしては、2016年から通貨としての使用が不可となり交換が推奨されており、2017年からは銀行券としての効果が失効します。つまり、「紙切れ」になってしまうわけです。

簡単な見分け方

背景色についてですが、新紙幣の方が彩度は高いのですが、一部を除いて新旧で同じ色です。青色が1,000、黄色が500、緑色が200、青紫が100、赤色が50、オレンジ色が20ペソです。違いは、旧紙幣の100ペソ札は青みが強かったため、同系色の1000ペソと間違われる事が多かったようで、新100ペソ紙幣では紫が強くなっています。そのため、100ペソ札は青いもの(旧紙幣)と紫のもの(新紙幣)の2種類が流通しています。実際のところ、色で新旧を見分けるのは、とくに慣れない外国人にとっては難しいようです。次に図像ですが、新旧紙幣とも表と裏では図像が異なります。両方とも表には大統領や英雄の肖像が印刷されています。裏には、旧紙幣では建物、新紙幣では国立公園の風景とそこに生息する鳥獣類の図柄となっています。最も分かりやすい違いは、表(肖像がある面)に書かれた紙幣番号です。これは新旧とも左下と右上の二箇所に記載されていますが、右上で見分けます。新紙幣の番号は右上端部に記載されており、下の桁の数字ほどサイズが大きくなっています。つまり、左の数字から右の数字にかけて、フォントのサイズが拡大しながら並んでいます。なお、旧紙幣の右上端部には番号ではなく、通貨単位が書かれ、その左下に番号が載っています。


早めの交換を

フィリピン長期滞在者は、自宅に保管している旧紙幣の交換を速やかに行った方が良いでしょう。いわゆる「タンス預金」やこっそり隠した「へそくり」紙幣は、2017年からは無価値になってしまいます。短期滞在の旅行者や留学生については、ショッピングの際に受け取るお釣りに注意する必要があります。観光客向けの免税店などで旧紙幣を返されることは少ないかもしれません。地元の人達が行くようなマーケットやバーなどでは旧紙幣でお釣りが返ってくる場合も考えられます。特に高額紙幣の場合はもらったその場での確認が必要です。ただし、もし受け取ってしまっても、2016年内であれば市中の銀行で交換可能です。また、両替所によっては交換してもらえるところもあります。