日本を代表する磁器のひとつである「有田焼」の中でも、国内外で非常に人気のある柿右衛門様式。柿右衛門様式の磁器は年代の古いものだけでなく、20世紀以降に作られたものも人気なので、骨董市やオークション、展覧会などでも見かける機会の多い美術品です。ここでは、柿右衛門様式について詳しく説明します。

柿右衛門様式の歴史

1616年頃、朝鮮から来た陶工によって現在の佐賀県有田市に伝えられて誕生した日本初の磁器が「有田焼」です。近代になるまでは出荷されていた港が伊万里だったこともあって、佐賀県一帯で製作されていた磁器を有田焼も含めて「伊万里焼」と総称します。この伊万里焼が誕生して30年ほどの後に、初代柿右衛門が磁器に上絵付をすることに成功。「赤絵物」と呼ばれる鮮烈な赤色を特徴とする絵付けと非対称的で大胆な構図デザインは、当時バロック時代だったヨーロッパで非常に人気となり、以後100年間の間に「柿右衛門様式」としてオランダ東インド会社を通じてヨーロッパへ5万点以上が輸出されました。ところが、江戸時代になると鎖国政策によって輸出が難しくなり、製作技術が非常に高度であることなどから、いったん柿右衛門様式は下火となります。ふたたび柿右衛門様式が復活するのは時代が下って昭和初期、12代目柿右衛門が一家に伝わる古文書をもとに1953年に技法復活に成功するまで時間がかかりました。柿右衛門様式の重要な技法である「濁手(にごしで)」という技法は、1971年に国から重要無形文化財として指定されています。現在の柿右衛門は15代目で、400年に及ぶ柿右衛門様式の伝統を受け継いで精力的に活動されています。

柿右衛門様式の皿の主な特徴とは

数ある柿右衛門様式の磁器の中でも比較的に数が多く、取引の機会でも安定した人気を誇るのが柿右衛門様式の皿です。絵付けのデザインや色使いを特徴とする柿右衛門様式の魅力を最も伝えやすいジャンルのひとつであることも人気の要因でしょう。その最大の特徴は「濁手(にごしで)」と呼ばれる乳白色の生地と、その上に書きつけられる鮮烈な赤色を使った色付けです。描かれる絵柄は野山の鳥や草木などをモチーフにしていて、余白の白を生かした左右非対称で大胆かつ繊細な構図で描かれています。白色に生える赤色や、左右非対称の構図、繊細で細かな描写などは17世紀のヨーロッパで主流であったバロック様式の特徴と似ていて、このことも誕生後100年間はヨーロッパで人気が高かった理由のひとつだと言えます。昭和に復活して以降は14代柿右衛門が日本画を専攻した影響などもあり、絵柄には伝統的なモチーフ以外にも写生を基にした現代的な絵柄のものも多くなっています。


柿右衛門の皿をもし家のなかで発見したら?

このように点数も多く、国内外で非常に評価が高い柿右衛門様式の作品は、骨董市などでもよく販売されています。もしかすると、みなさんの家のどこかに眠っているかもしれません。本物であれば小さなものでも1万円以上で取引され、定価でも5万円前後の相場で売られている人気の美術品ですから当然贋作の数も多く、取引する場合は十分注意する必要があります。最近では、かなり精巧な贋作も出回っているようですから、もし家の中から柿右衛門の皿らしき作品が見つかった場合は、実績のある出張買取サービスなどを利用してプロの目で鑑定してもらうようにしましょう。出張買取サービスであれば自分で骨董店に持ち込む手間や破損のリスクも避けられますのでおすすめです。柿右衛門様式は非常に特徴的な美術品であり、特に12代目以降の作品は作家のサインなどではっきり鑑定できるものも多いですので、しっかりとしたプロの目を通せば安心です。