古美術には壷や器、掛軸に仏像などさまざまなものが含まれます。大きなものや絵画など一部を除いては箱に収納され箱書きされているのが一般的です。古美術の魅力に触れるだけでなく、作品を証明する箱書きの役割を知っておきましょう。

古美術とは?

古美術と言っても、掛軸や屏風、絵画から壷に器、仏像などの彫刻まで多岐に渡ります。古美術とは古い時代に作られたもの全般を指し、時代などのはっきりした定義は特にありません。古くは骨董品として括られていましたが、戦後になってから骨董品の中でも美術価値のあるもの全般を総称して古美術と呼ぶようになりました。そのため、同じ骨董でも農機具や生活用品といった道具類は含まれない場合が多く、生活に密接なものであれば、色や絵柄などに凝った器や壷、茶道具、蒔絵や螺鈿など美術価値の高い装飾が施された工芸品などは対象とされています。古美術は、好みやコレクションするものも人それぞれです。書画であれば、その時代にしか出せない絵の具や墨、そして紙から感じられる独特の色合いや風合いは現代のものでは出せないものもあります。書画や彫刻などは作者が既にいないだけではなく、博物館や美術館にも所蔵されていない作品が発見されることもあるので、コレクターにとって魅力のひとつです。また、作品を通してその背景となる時代に起こっていた出来事や流行の傾向を読み取れるのも古美術の魅力でもあります。

箱書きでその作品の伝来と価値を知る

古美術品は、大きなものなど一部を除いてほとんど箱に収納されています。器類や壷、掛軸などが多く、作品が作られた時に入れられるのが本来の流れです。その際に、箱の表に作品名や作者の名、落款が押されているものを箱書きと言います。箱書きは、通常作者自身が記すことが多いですが、何らかの事情で記されないこともあります。その場合は、譲り受けた者や作品に縁のある者、または作品を鑑定した者によって記されていることもあります。箱書きとは、その作品の作者や作品名を知る以外にも、由来や背景などを記していることもあり、作品の謂れや作られることになったいきさつを伝来する役割をするものです。しかし、一方ではそれらしい箱書きを添えただけの偽物も多く存在します。鑑定の際には作品と箱の時代の一致や、箱書きの筆跡や墨の種類、落款の形状などから得られる情報を元に本物かどうかを判断していきます。


箱が無い場合には?

箱がない古美術品もあります。ないといっても、必ずしも偽物とは限りません。象牙で作られた根付けなどの場合はコレクターも少なくはなく美術価値も高いものですが、作品が小さいということもあり、箱に入っていないものも多くあります。古い時代のものは、現代に至るまでの過程や過去の所有者の事情で箱が紛失していることもあります。箱がないと、確かな作者や時代は素人では判別がつきにくいものです。その場合は古美術の査定員に依頼し、作品が本物であるかを鑑定してもらった上で箱書きをしてもらいましょう。買取してもらう場合にも、箱書きがあれば好条件の査定でされる傾向はあります。箱は中の古美術品と釣り合わない新しいものになりますが、作者や年代などを書いてもらえる以外に、査定員の名が入ることで作品が本物であることの証明になるからです。